<その1:椅子とテーブル、そして扉>
3年ぶりに無事公演が終わり、心地よい疲労感と何とも言い難い達成感が身体を包んでおりました。1か月たちまして、今年も大道具制作を振り返ってみたいと思います。
今年の大道具は、本当にギリギリでございました!
まぁ、自分の見込みが甘かったわけですが。
例によって演出のゆうと君に、何かイメージがあるか聞いたのですが、具体的には無くて、ただ、ドアやテーブル、椅子などは、抽象的ではなくてリアルな物が欲しいとのこと。
ここ何年かアルミパイプのG-funを好んで使っていて、「鏡のなかの花水にうかぶ月」では、アルミパイプで椅子を作ったりもしたのですが、直方体を椅子にみたててました。また、「さくら」では、引き戸はマイムでしたし、「泣いた朱鬼」でも、青鬼の家の扉は「扉がある体歳で」演技してもらいましたし。
リアルかぁ・・・・。で、椅子やテーブルを、ネットで探してみました。
好んで使ったサイトは「ジモティ」。無料、もしくは格安で椅子などの家具を見つけることができます。
割と早い時期に、ダイニング椅子4脚、カウンター椅子2脚、スクルージの家の丸テーブルと椅子を0〜500円でゲットできました。
それらを、自分の家のリビングやら車の中やらに置いておいたのですが・・・
はっきり言って邪魔!
そんなおり、私の知り合いが期間限定9月末までの飲食店を開くことになり、そこで使う椅子やテーブルを探しているとの事!なんてタイムリー。椅子4脚とカウンター椅子2脚を預けました。ひとまず9月末の閉店までそのお店で使ってもらいもらい、10月頭に引き取り、合宿で実際使用する。うーん、実に効率が良い。
小さな劇団倉庫にはとても置いておけないので、助かりました。
さて、「ジモティ」を活用したものが、もう一つありました。それは、扉です。扉を木材で一から作る事も考えました。
私が密かに師匠と勝手に思ってる、大道具系YouTuberの元さんが、舞台装置のドアの作り方をアップしてくれています。しかし、建具って結構シビアに寸法を取らないとダメなんですよね。道具も色々と必要。
そこで!ジモティの「探しています」のコーナーに、
「木製の扉を探しています。お家を解体する際に、捨てる扉があったら譲ってください。」という記事をアップ。
そしたら、めちゃめちゃピッタリな扉を2枚もらえちゃいました!
一応扉の写真を演出のゆうとに見てもらいOK出たので、引き取りに行きました、、そして、そう、この扉も大きいのです。1枚は愛車サンバーバンの荷台に対角線に入れ放しに、1枚は自宅のリビングに保管。
このもらった扉に合う「枠」を作らねばなりません。寸法を測り、ホームセンターで木材を買いました。
最初に取り掛かったのは、スクルージの部屋の扉です。この扉、台本上、ト書きに、
「ドアノブがマーレイの顔になる」
と書いてあります。
・・・・ってどういうこと!?ドアノブが顔に?
いやならないよ・・・・。
結局、「ドアの一部から顔を出す」で、演出のOKをもらいました。
ちょうどもらった扉の飾りの枠一つをくり抜けば、ギリギリ頭が通ります。
ただ穴を開けるだけじゃなく、普段は開いてない状態から、瞬間的に顔を出せて、また瞬間的に元に戻さないとダメなんですよね。
色々と試行錯誤し、発泡スチロールの板と磁石で、簡単な窓を取り付けました。
今回扉の製作で一番苦労したこと、それは、自立するかどうか。本来、「人形」と呼ばれる足をつけるんですけど、今回は、盆が回り両面で扉として見栄え良くしたかったこともあり、まず、戸が開く側は、扉の重さがかかるので、下に板を延長しました。そして、扉の重さを支えるため、キャスターをつけました。
枠にはドアノブの受けにあたる部分を取り付ける(上の写真)のですが、この調整かなり難しく、本番当日、ドアがカチっと閉まらなくなりまして・・・・役者にはハラハラさせてしまいました。
今年制作した二つの扉は、もしかしたら来年以降も使いまわすかも・・・ということで、倉庫に置かれています。
今年の演目、「スクルージと夢見るクリスマスキャット」、劇場でご覧になった方も、観てない方も、YouTubeの劇団宇宙の森チャンネルでご覧いただけます。この裏話を読みながら、気になったら、ぜひ再度ご覧ください。
大道具的には、編集版よりも舞台全体を観られるワンカメ引き動画の方がおススメです。
さて、次回第二回は<スクルージのお墓と炎の帽子>です。