ごあいさつ

当たり前なんてないんですね。
劇団宇宙の森は24年間、毎年ふるさとホールで公演を行っておりました。
1年に1回舞台に立つ。
当たり前だと思っていました。

稽古に集まれる事、元気な劇団員の顔が見れる事、台本を読める事、お芝居ができる事、舞台に立てる事、多田さんが手伝ってくれる事、お客様に私達を観てもらう事、
そんな当たり前が、当たり前ではなくなった時、
改めてこれまでの幸せを噛み締めるきっかけとなりました。

皆様から心あるお力をたくさんいただき、この度チャレンジ公演を開催する運びとなりました。
『ありがとう』の舞台です。お楽しみ下さい。

劇団宇宙の森代表 津田雅史

演出のつぶやき

この度、脚本・演出をさせていただきました鈴木です。
コロナ渦での公演活動。稽古ができない期間が続き、公演日を延期して、初の配信公演というかたちでお届けすることになりました。
ご来場いただけないことがとても残念ですが、遠く離れた場所にも私たちの気持ちが届きますように…
そんな思いでこの作品を作りました。
私たちの「泣いた朱鬼」アフターストーリー現代版をどうぞお楽しみください。
本日はご視聴いただきまして、ありがとうございます。

出演者

  • 朱(あかね):Nori

  • 蒼(あおい):ゆうと

  • 若葉(わかば):出山としこ

  • 菫(すみれ):如月悠

  • 山吹(やまぶき):野口光太郎

  • 錫(すず):永田由美子

  • 紅(くれない):鈴木詠美子

  • 浅葱(あさぎ):津田雅史

  • 烏羽(からすば):比田茉莉

スタッフ

演出/脚本:鈴木詠美子
演出助手:多田今日子
技術提供:じみぃ
製作:劇団宇宙の森

ストーリーこぼれ話

振り返ると苦労話は山ほどありますが、そんなことより、作品では語られなかった鬼たちの裏話、エチュードや雑談から生まれたエピソードを少々。これは原作にはないオリジナルの設定です。この鬼たちには属性があり、紅は雨、浅葱は雷、烏羽は風に属します。なので、紅が泣くと雨が降る、浅葱が不穏になると雷が鳴る、烏羽があらわれると風が吹く。劇中でもその様子が音で描かれているので、気づいた方はこのことだなと思ってください。
鬼たちは人間の文化を持たないので、紅は人間にとても興味を持ちました。山を下りては人間の街を覗きにいくうちに、いつしか人間のことが好きになりました。鬼たちが着ている服は、紅がどこかから拾ってきました。浅葱は「また人間の街に行ったのか」と呆れながらも、面白がって着ています。浅葱は夜に見える月が好きです。それは、浅葱の心が穏やかな時に見えるから。不穏な時は、雷雲で見えなくなります。最近は人間が鹿や猪を獲ってしまうので、深手を負いながら熊を仕留めたり、遠くまで狩りに行くようになりました。釣りをするとすぐ寝てしまうので、紅に「浅葱、また寝てる」と起こされました。
作品の冒頭では、浅葱が紅を訪ねてきますが、普段は紅が浅葱の家を訪ねていき、よく上がり込んでは、人間の話をしていました。それが最近、顔を見せなくなり、どうしてるのかなと訪ねてみたら、ついに人間と友だちになろうとしていた…
そして、その後のストーリーで鬼たちが辿り着いたのは、山形から新潟へ渡り、国道292を南下した白根山付近です。志賀草津高原道路を通ると、彼らがそこにいたことを感じられるかもしれません。